バルーンカメラ1

大町美麻ロードレース」 のインターネット中継を計画した初期から、カメラシステムにDVカメラではなくIP監視カメラを利用できないかと考えていました。これはIP監視カメラが「オペレーション・フリー」で動く事と、「小型軽量でかつ高画質」になって来ていたからです。

ターゲットにしたのは AXIS 207W  。IP監視カメラの老舗のAXISの比較的最近のMPEG-4対応・WiFi対応の小型カメラです。この特性を生かして、このカメラを広告用のバルーンにくくり付けて、上空からのライブ映像を配信しようという、かなり無茶苦茶な提案がなぜかすんなり採用されたため「実際に動くシステム」を作成する必要が出て来ました。

ph_207w_left_low2.pngballooncam3.png

最新のモデルはH.264に対応したりしていますが、これを選んだのは「会社に現物があったから」でした。

これは、そもそもIPv6実験の機材として購入した物ですが、普段は使用していませんので「ちょっとお借りする許可」を得まして各種の実験を進めて来ました。このカメラは大変高機能で、設定によってはかなり特殊な使い方も可能で、Streaming系との相性はPanasonicなどの製品よりかなり高くなっています。今回もダイレクトにStreaming Serverのソースにする方向で準備をしていたのですが、途中から現地の設置環境が変わって来たため、第二案である「バルーンカメラ」用としてセットアップすることとなりました。

ここで言う「バルーンカメラ」とは所謂「アドバルーン」用の風船にぶら下げて「空撮」をするカメラのことです。あまり細かいことは考えず「何かおもしろい映像を」という軽いノリで出て来た企画ですが、おやき販促用の「アドバルーン」が借りられるとのことで「カメラが出来れば飛ばすことができる」状態となりました。他にもマルチカメラStreamig(5カメto Ustream)のメイン企画がありますので、現地で手間のかからない状態に仕上げ手離れを良くする必要があります。ここで問題点を整理すると、

  1. ネットワークの接続をどうするか
  2. 電源の供給をどうするか
  3. バルーンへの固定をどうするか
  4. 雨天対策はどうするか
  5. 工作手法はどうするか
  6. 時間をいかに捻出するか

となります。まず1. のネットワークの問題ですがこれは2つの可能性がありました。

A. 有線LANで接続
B. 無線LANで接続

バルーンは必ず地上と繋がれていますので、A. の有線LAN接続でも全く問題はありません。また207WはWiFi機能内蔵なのでB.の無線LANでも問題はありません。これに対して2.の電源問題も2つのアプローチが考えられました。

A. PoEによる有線給電
B. バッテリーによる給電

ここで207W自体はPoE非対応なので 、A.のPoEを使用するには外付けのPoE受電ユニットが必要になりますが、これが意外に物が無く、電圧・重量・価格・納期のどれも問題で今回は採用を見送りました。

Planex POE-5VPK (1万円ぐらい、ただし製造完了モデルで入手不可)
D-Link DWL-P200(8千円ぐらい、ただし納期2週間で入手間に合わず)
サイバネティック PoE-ZS251T+PoE-ZR1005T(対向で5万円、無理!)
Baffalo(3.3V用しかない)

※2010/01/21追記:
秋月電子通商で PoE LANケーブル電源供給基板キット(1,450円) が出ていました。

このため、B. のバッテリー給電で組む必要が出て来ました。これは以前から実験を行っていて、

iCharge eco DX
http://www.links.co.jp/html/promotion/icharge-ecodx.html

icharge-eco.jpg

を利用してAXIS 207Wを稼働させることが実現しています。 「iCharge eco」は無意味に太陽電池で充電ができるバッテリー(24時間でフルチャージ)ですが、出力がUSBコネクタになっているのでいろいろ実験するのは都合のいい製品です。接続用のケーブルは207Wの場合、外径3.5mm,内径1.3mm なので、

コンピュエース横浜店〜地球館 USB関連機器
http://www.ep-web.net/pub/sel/selmain.eco?sh=ep&fr=pn&ca=pn4

DC-3513 外径3.5mm 内径1.3mm

を購入。サイズ的にはこれが正解なのですが、実際に直結しても207Wは起動しません。何が問題なのか解明する時間と能力は無かったのですが、207Wの仕様がDC 5.22Vと微妙なのに対してiChargeが実効値で5.45Vあるため、その差を埋めるため、

ショットキバリア・ダイオード30V 3A(10個入) CMS01
秋月電子通商:250円
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-02562/

を挿入。0.5A時のVFMが0.25Vなので 5.45V - 0.25V = 5.2V と理想的な数値が得られそう。ついでにUSB-Aのオスメスのコネクタ等も購入しアダプタを作成。

icharge-eco2.jpgsb-diode-usb.pngsb-diode-usb2.png

これで実際に207Wは起動したのですが、電圧を測ってみると負荷のかかった状態で5.45Vと落ちていないようです。まあ問題なく起動して動くので結果オーライなのですが・・・

と、ここまでは5月の連休の時点で完成しており、1350mAhフルチャージの状態で有線LANのみ接続でMPEG4配信(320×240 30fps)の場合で112分 の連続動作が可能でした。約2時間弱ですが無線LANを使用すれば更に時間は短くなると思われ、美麻ロードでの使用には少々役不足なため、より大容量な電源を組む必要があります。

トラックバックURL: http://meteor.blog.avis.jp/archives/113/trackback

“バルーンカメラ1”への トラックバック ( 1 )

  1. 2chineseさんの トラックバック

    2watches...

    ...

“バルーンカメラ1”への コメント ( No )

コメント

(必須)

(必須)
(メールアドレスは公開されません)