585 ModosteadyをiPhoneに
Manfrottoに「585 Modosteady マルチカメラスタビライザー」という小型カメラ用のスタビライザー製品があります。ジンバル(実際はボールジョイント)を中心にバランスを取ったウエイトで、カメラ操作時に働く回転モーメントをキャンセルするタイプの最も簡易的な製品です。
しかしこの製品、この種の物としては格安の品なのでやはり「なんちゃってスタビライザー」で、玄人筋には評判が悪いです。家庭用としても半端な性能と価格なのですが、当方では大幅なチューンナップ改造を施してあります。(でも使ってないけど)
この度、この585 Modosteady 改をiPhoneと組み合わせて細部の写真を撮ってみました。
なお、写真は都合により全てTwitpicのサムネイルなので長辺がトリミングされていますが、クリックするとTwitpicが開きますので全体はそちらで見てください。
この記事の短縮URL→ http://bit.ly/94sbIl
この製品の問題点は「剛性が低い」ことにあります。第一にグリップが華奢過ぎで、三つに割れてスタンドになるのはいいんですが、握るとギシギシしてしまいガッチリ握れません。
そこでこのグリップは分解して外してしまいます。(写真はもう外れてますね)そして外した跡に金属製のネジアダプタをネジ止めします。
このアダプタはTOMOCA(トモカ電気)の変換ネジアダプタでホルダー側(オス)が5/8 Shureでスタンド側(メス)が1/2 BTSの物(変換ネジ 21)です。
このアダプタの真ん中にボール盤で穴を開け、15mmのM4皿ネジで固定します。これにより非常に頑丈なベースができあがり、どのようなスタンドやグリップでも取り付けることができるようになります。
次の問題として弧(弓)の部分の剛性が圧倒的に足りない点を改良する必要があります。弧(弓)の部分はプラスチック製で折り畳める構造になっています。折り畳み構造自体は問題ないのですが、そもそも材質がふにゃふにゃし過ぎで、一番下にウエイトがぶら下がっている関係上かなりの勢いで上下振動をしてしまいます。手に持ってちょっと振ると「ボヨンボヨン」と揺れまくります。この上下振動=重心の移動なので、カメラの仰角も振動に合わせて上下をすることになってしまい。この製品が使えない最大の理由となっています。
この問題を根本的に改善するには「弧(弓)の材質を強化する」しかないのですが、ここを金属材料で置き換えたら全く別ものになってしまいます。そこまでするなら一から作った方がいいような改造になってしまいます。
そこで「振動は重りが下に引っ張られて弧が伸びることで起きている」点に着目し「弧が伸びない」加工を行います。これが先ほどから写真に写っている「ワイヤーによるステー」です。ワイヤーを使用するのは後で写真が出て来ると思いますが「折り畳める構造を残す」為です。
ステーの上半分はターンバックルです。回す事で長さの変わる金具ですが、DIYショップや金物屋ならどこにでも置いてあります。一番小さい物を使用しています。ターンバックルはS字の金具を使って弧の上側の隙間に引っ掛けてあります。金具の先で傷が付かない様に熱収縮チューブを被せて保護してあります。
下側(重り側)はワイヤーを二重にして隙間に通してあります。ちょうど隙間にはまるのでこちら側も無加工です。
ワイヤーのステーの途中でマジックテープで弓の側に引っぱりテンションをかけています。これによりワイヤーがグリップを持った手に干渉しないようにできます。
ワイヤーは60cmの両端がループ加工された物を4つ折りで使用しています。つまりワイヤー部分は約15cmになります。ターンバックルのフック部分はかしめてワイヤーや金具が抜けない様に加工しておきます。これで剛性の強化は完了です。
この585 Modosteady 改は2年ぐらい前に作成したのですが、実は例のiPhone用のグリップ等とユニットが共通となっています。(こっちが先ですが)つまりいろいろ組み合わせて使用することが可能になっています。
iPhoneグリップを分解し、iPhone固定部分を585 Modosteadyのマウントプレートに、グリップ部分を585 Modosteadyのグリップとして合体させます。
iPhone単体を585 Modosteadyに固定するのは困難ですが、グリップシステムは標準三脚雲台に付けることを想定して組んでいますので、問題なくiPhoneを固定することができます。
写真は縦位置(Ustream用)ですが横位置(カメラapp)で固定する事も可能です。その場合当然バランスの再調整は必要です。
全体を横から見たところですが、iPhoneは縦位置だとかなり重心が高いですが、重量自体はさほどありませんのでバランスは問題なく取る事ができます。
グリップを握ってみたところです。グリップは金属製+滑り止めスポンジカバー付きなのでがっしり握ることが可能です。またその際に不要な音が出る事もありません。
ジンバル(ボールジョイント)周りも自然に親指がかかるので、軽く添えて振動の抑制や向きの微修正が可能です。必要に応じて絞めネジ辺りに左手を添えます。
組み立てたまま折り畳むことも可能です。(分解した方が収納は楽ですが)
グリップの底は1/4″ネジですのでミニ三脚などを付けることができます。調整時や585 Modosteadyを付けたまま一時的に固定した場合など利用します。
585 Modosteadyはウエイトの調整ができますが、この構成だと1枚外し(4枚使用)でバランスしています。
このような装備が果してiPhoneに必要なのか?当方でも作った(改造した)はいいが実践で使う機会が無い「お蔵入り機材」だったわけですが、iPhone4でカメラ性能も上がりちゃんと撮影したらいい画が撮れるようになって来ましたので、装備としての需要はあると思い情報を整理してBlog化した次第です。
また、585 Modosteadyは今は585-1 Modosteady(ブリスターパッケージ化しただけ)となり現行品ですが、この性能のままじゃかなり不満が多いと思います。手持ちよりましですが、上下振動に極端に弱い構造なため使用を見送っている人もいるかもしれませんが、この改造(ワイヤーステー追加)をすればそれなりに安定します。可逆な改造でいつでも元に戻せますので興味のある方は改造にチャレンジしてみてください。
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