ガンマイク用自作サスペンション

ビデオや音声の収録用にAudio Technica AT835ST MSステレオガンマイクを使用していますが、比較的タッチノイズに敏感な機種なため何らかの防振サスペンションが必要になります。最近はRODEなどから比較的安価なクレードルサスペンションが出ていますがここはひとつ自作してみましょう。

このマイクはガンマイクでありながら2つのカプセルをMS配置したもので、X-YまたはL-R Wide, L-R Narrow と出力を切替えられます。ビデオの収録の場合ほとんどの場合L-R Wideにしています。さらに、このマイクはファンタム電源専用なので、家庭用HDVカメラと組み合わせるのは面倒なのですが、そのへんも機材を改造して繋いでいます。(多分別記事で紹介します)

まず完成品はこんな感じ

AT835ST

写真はウインドジャマーとミニ三脚を取り付けた状態です。

まず一番大事なフレームですが、ルミナスの「ペンホルダー 25P-0810」を使用します。25φのワイヤーラックのポールに後付けできるペンホルダーです。

25P-0810

円筒のかご状のペン立てと、25φのワイヤーラック支柱に取り付ける為のフレームで構成されています。このフレーム部分は径の違う円形の枠を繋いで固定金具が付いた物で、この部分のみを流用します。

マイク側は「スポンジ・パイプカバー溝有り黒(内径20mm 長さ120mm)」を被せて使用します。マイクを吊るゴムは一般的な#16の輪ゴムを4本束ねた物を使用します。

輪ゴムは写真の様に一回ひねって「ダブルクリップ(小小サイズ)」でフレームに留めます。

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黒いゴムひもは「鳴き止め」用です。

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引き出し用のパッチケーブルは5Pなので、CANARE L-4E5CにNEUTRIKのNC5FXX-B(メス)と NC5MXX-B(オス)で自作します。ケーブルを経由して振動が伝搬するのを防止するため、コネクタに防振スポンジを巻き、余長ループ部分の当たり防止とケーブルの鳴き止め用にゴムひもで巻くなどの対策を施します。ゴムひもは先が解けるのを防ぐため、両端を熱収縮チューブで処理します。このパッチケーブルの防振処理が無いと、せっかくサスペンションでスタンドからの振動を防いでも、ケーブルを伝わってマイクに振動が伝わってしまいます。

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次にスタンド用の固定アダプタを作成します。ベースはルミナスの取り付けパーツとSONY SAD-300F マイクホルダーを使用します。

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まずSONY SAD-300F マイクホルダーのネジを緩めて分解します。

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固定ピンを抜きクランプ部分を撤去した後に組み立て直します。

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SAD-300F の芯に若干テープを巻きつけて抜け落ちない程度に太らせ、ルミナスのテーパー状の固定パーツを被せます(もしくはグルーガンや接着剤で固めてしまってもOK)。さらに外側を薄く丈夫なテープで巻きます。

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完成したパーツをフレーム側にきつくねじ込みます。
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全パーツを並べたところ(ウインドジャマーは除く)。上の黒い長細い物は、フレームの鳴き防止用の硬質スポンジです。スタンドネジは1/2″ BTS なのでそのままでもいいのですが、グリップを兼ねてSONY SAD-28 ショックマウントを挟んでいます。これの外側も防振用にスポンジを巻き、1/4″ カメラネジアダプタ(トモカ)もセットしておきます。

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フレームの鳴き防止用の硬質スポンジは両端に切り込みを入れて、フレーム前後の輪を繋ぐ様に挟み込みます。このフレームは鉄製ですが、構造上音叉の様に非常にいい音で鳴ってしまいます。このため何らかの「鳴き止め」加工は必須です。もっと固目の素材で前後を固定してしまった方が良いかもしれませんが、現状はこのスポンジ×4+黒ゴムひもで軽くテンションをかけることで鳴きが最小になっています。

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サスペンション部とグリップ部を組み立てたところです。フレームの鳴き止めスポンジはフレームが何かに接触しないためのガードも兼ねています。グリップ部分はSONY SAD-28の部分にパッチケーブルのコネクタを固定します。固定はコネクタとSAD-28を巻いたスポンジとは別にスポンジを挟んで、マジックテープで固定します。

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全てを組み立てて、ミニ三脚を取り付けたところです。三脚を外せば手持ちも一応可能ですが、通常は三脚かマイクスタンドに固定します。マイクスタンド使用時は三脚ネジアダプタを外す(1/2″ BTS)か別のネジアダプタを使用します(3/8″ AKG、5/8″ Shure、5/16″ JIS)。

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以上で完成です。初期の鳴き止めや防振がない素の状態では、ちょっとした動作でフレームが鳴いて(鳴って)しまったり、ケーブルやスタンドを経由して振動が伝わってしまいましたが、現在の状態にしてからはほとんど無くなりました。以下は実際の使用風景。

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カメラが民生用のiVIS HV20(3.5φ STEREO mini)なので改造したファンタム電源ユニットを経由して接続しています。

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“ガンマイク用自作サスペンション”への コメント ( 1 )

  1. junTMUGさんの コメント

    輪ゴムだとみすぼらしくなっちゃうので、100円ショップでも手に入る髪留め用のゴムが良いですよ。11本セットで100円とかなんで、サスペンション用のゴムとしては最適です。製品のサスペンションゴムの交換用としても使ってみましたが、バッチリでした。

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