C910+16:9Ust配信の問題点

Webカメラ Logicool C910 を使用して16:9ワイド設定のUstream配信を行う際の問題点について解説します。

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まず最初の問題点として、C910+Ustream Producerで16:9設定にすると正しいアスペクト比で動かないということがあります。これはC910だけでなくLogicoolのカメラ全般にそういう傾向があるようです。

(この記事の短縮URL→ http://bit.ly/aT89pt )

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実際の画面はこんな感じです。

直結し「Camera Aspect Retio」を「Widescreen (16:9)」にした場合、なんとなくワイドな画面にはなりますが、縦に潰れたアスペクト比の狂った画像になってしまいます。これはフレーム比率は確かに16:9なのですが、中身のカメラアスペクト比が16:9に設定できていないためです。主にカメラ側の問題ですが、残念ながらUstream Producer単体では回避する設定ができません。つまり、

  • C910+Ustream Producer では正しい16:9ワイド配信ができない

ということになります。ちなみに、

  • C910+Broadcaster ではほぼ16:9ですが若干縦に縮みます
  • C910+Ustream Producer Pro では4:3で取り込んで拡大しつつ上下を切るという回避策が使えます
  • C910+Flash Media Live Encoder では正確な16:9ワイド配信ができます

結局何も細工をしないで正確な16:9ワイド配信ができるのはFMLEだけとなります。

【C910+Broadcaster】

一般的なレベルではBroadcasterで「ワイドスクリーンを利用します」にチェックを入れれば、実用上は問題はありません。縦の縮みは誤差の範囲なので目視ではまずわからないでしょう。「高解像度を利用します」にもチェックを入れておいてください。ただしエンコードにVP6もH.264も使用できないため高画質は望めないでしょう。

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【C910+Ustream Producer Pro】

Ustream Producer Pro が使える場合は、チャンネルのEffect機能でカメラ画像を拡大することで16:9のフレームにフィットさせる事ができます。

Ustream Producer Pro では(Proじゃない無印もそうですが)C910は4:3のカメラとして認識されます。どのサイズに設定されるかは判り難く、かつMac版とWindows版で結果が違ってきますが、環境設定>アドバンス>キャプチャデバイスサイズ が関係しています。

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Mac版でもWindows版でも「縮小」に設定した場合は問題がありません。Mac版で「ネイティブ」に設定されていると1600 x 1200に設定されてしまい、画像の読み出しが異常に遅くなります。結果として画面の上下で時間差ができてしまい、動画としても静止画としてもおかしなことになってしまいます。

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カメラ前で動くと寄生獣化してしまいます。

Mac版

  • 低/縮小:320 x 240 →解像度が低い
  • ネイティブ:1600 x 1200  →寄生獣ハッケン!

Windows版

  • 低/縮小/ネイティブ:640 x 480 →実用的で十分な解像度

Producer Proの場合、Effectを使用して4:3のカメラ画像を拡大&トリミングして16:9のフレームに合わせることができます。

インスペクタ画面でチャンネルのEffectsを開きます。配信が16:9に設定されている場合、フレーム枠は16:9に設定されます(下図の緑の部分)。この中に天地合わせで4:3のカメラ画像が表示されています(赤い部分)。このカメラ画像の上下の不要部分を適切にクロップすれば、カメラ画像は16:9になります。

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先ほど書いたようにC910がProducer上でどういう解像度で動いているかはOSと環境設定で違いますが、

  • Mac版:320 x 240
  • Windows版:640 x 480

となっていますので、16:9 化するには

  • Mac版:320 x 180 にトリミング
  • Windows版:640 x 360 にトリミング

してあげる必要があります。つまりそれぞれ、

  • Mac版:(240 - 180) ÷ 2 = 30
  • Windows版:(480 - 360) ÷ 2 = 60

ずつ上下をクロップしてあげれば 16:9 になります。以下の画面はMac版ですので上下のクロップの値に「30」を入力しています。クロップ値を入れたら「スケール」ボタンを押すと自動的に拡大してフレーム枠とカメラ画像がフィットします。

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なお、画像中に説明してあるように入力する数値は以下の計算でも求められます。

  • (クロップの最大値+1) x 0.125 = 上下のクロップ値

クロップの最大値はつまみを右一杯にスライドさせれば判ります。

画像の拡大はマウス操作(MacはCommandキー/WinはAltキーを押しながら上下にスライド)で設定できますが、正しい値に決め打ちで設定できないため再現性がありませんので、クロップしてスケールするのが良いでしょう。

なお、Windowsの場合いまのところこの方法が最良のC910の16:9ワイド 設定の方法でしょう。逆にMacの場合はなぜかカメラソース設定が320 x 240か1600 x 1200と極端なため、品質的に別の方法(FMLEかCamTwist)を取った方がよいでしょう。

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【C910+Flash Media Live Encoder 】

最後はFlash Media Live Encoderを使用して16:9ワイド設定にする場合です。

まず、C910のFMLE上の「Input Size」で設定できる解像度ですが、これまたMac版とWindows版と違っています。以下の一覧をご覧ください。黄色は4:3の設定、緑は16:9の設定ですが、これ以外でも解像度の都合で近似値を採用している解像度の組み合わせがあります。

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Ustream的に実用になりそうな解像度は 640 x 360 でしょう。これ以上は処理能力的にもかなり無理が出て来ます。

  • Device:Logitech Camera(C910)
  • Format:H.264(オプション設定は右の図)
    • Profile:Baseline
    • Level:3.0(iPhone対策- Macのみ)
    • Keyframe Frequency:5 seconds(もっと長くても良い)
  • Frame Rate:15.00 fps(CPUの余裕があれば20〜30に)
  • Input Size:640 x 360
    • [レ] Maintain Aspect Ratio(入力と出力のアスペクトを同じにする)
  • Bit Rate:
    • 1 [レ] 350Kbps(CPUや回線事情により〜700Kbps 程度まで)
    • Output Size:640 x 360

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Bit RateやFrame RateはCPUパワーがあればもっと上げることは可能です。ただし回線が細い場合などは無理にBit Rateを上げると輻輳して失敗しますので、回線の実性能を超えないように設定する必要があります。このため3G回線などの場合は200Kbpsぐらいまで落とした方が安全です。また後述する「Auto Adjust」を併用すると回線状況に応じてデータ量を自動調整することができます。

Audio設定も参考迄に載せておきます。

  • Device:任意(各自の環境による)
  • Format:AAC(Macのみ、Winは有償でHE-AACが使えるようになるが無い場合MP3)
  • Channel:Mono(帯域節約のため必要時以外はMono)
  • Sample Rate:44100 Hz(音質重視なら最低でも32000Hz推奨)
  • Bit Rate:56 Kbps(この設定で16KHzまで伝送可能)
  • Volume:任意(各自の環境による)

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回線の状況が安定しない可能性のある場合、回避策のオプションを付けておくと配信が破綻しないで続けられる可能性が高まります。

  • [レ] Auto Adjust(帯域変化時に自動対処する)
    • ( )Drop Frames(コマを間引いて対処する方法)
    • (●) Degrade Quality(画質を下げて対処する方法、こちらを推奨)

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  • Maximum Buffer Size:2 sec(広帯域でない場合あまり大きくしない方がよい)
  • Degrade Quality Settings(品質低下の設定)
    • Minimum Video Bitrate:100 Kbps(平常時より低くすること)
    • [ ] Preserve Per Frame Quality(Frame rateを設定値の50%まで下げてフレームの画質を保つ)

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Auto Adjustはあくまで保険なのであまり過信しない方がよいでしょう。

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注:この配信キャプチャのソースはカメラではなくチャート画像です。

以上、標準的なアプリでC910を16:9ワイド配信する設定を解説して来ました。このカメラは高性能なフルHDが売りですが、実はストリーミング系ではワイド設定が あまり得意ではありません。意味なくカメラアスペクトが変な値になったり想定通りには動いてくれないことが多いようです。

ただMacではFMLEを使わないとまともな高解像度で配信できませんので、 Mac使いはCamTwistを使用することを強く推奨します。CamTwist使用時も解像度問題がありますが、そちらは解決済みですので別記事で解説を行います。

追加記事 : C910+CamTwistでの16:9設定
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