C910のMac対応版の問題点
ロジクールのハイエンドウェブカメラ「ロジクール HD プロ ウェブカム C910」をMac OSに対応 というニュースに喜んだMacユーザーは多いことでしょう。Twitter上でも歓迎ツイートが飛び交い対応ソフト「LWS for Mac」も公開されました。
しかしこのソフトウェアは「Ustream等のストリーミングには全く恩恵をもたらさない物」であったため、肩すかしを喰らってがっかりしたり、どうやったら(Ustで)使えるのか袋小路に陥ったり、期待を込めて購入を決めたが続報で絶望する人々が大量発生しています。(というかこれから発生します)
これらの期待は全て完全に裏切られます。(ただし別の救済策があります)
(この記事の短縮URL→ http://bit.ly/hEDK7Z )
では何が問題だったのでしょうか?
まず基本的なことをおさらいしましょう。
このWebカメラはHDワイド解像度(720P = 1280 x 720)のテレビ電話に対応したカメラで、高性能な広角レンズとステレオマイクが売りです。また、このカメラは最高 1600 x 1200 の各種解像度の静止画を撮ることができます。
- HDワイド対応
- 720P対応
- テレビ電話対応
- ステレオ音声対応
- 高解像度対応
これらの点において、この製品は宣伝通りの高性能を発揮します。 宣伝に偽りはありません。
また、このカメラはUVCに対応し各種機器やOSで動画や静止画のキャプチャに使用することができます。
- UVC対応
実のところUst等のストリーミングソフトにとっては、Windowsでもこの部分しか使用できなかったりしますが 、この機能で既にMacにも対応済みだったりします。
さて、このC910にはWindowsの(一般には)ドライバ(と思われている)ソフトが 付属しています。これをインストールすると
- Logicool Vid(TM) HD(以後Vid HD)
- Logicool ウェブカメラ ソフトウェア(以後LWS)
- Logicool ウェブカメラ コントローラ(以後LWC)
が標準インストールされます。
まず、Vid HDはロジクール製のテレビ電話ソフトです。 このソフトを使用することでC910の全ての性能を利用したテレビ電話が使用できます(ただし相手もVid HDが必要)。
次に、LWSは動画や静止画をキャプチャしファイル化する機能と、全体のラウンチャとしての 機能を併せ持ったC910の顔とも言えるソフトです。目的が静止画の写真作成やYoutube用動画ファイルの作成であればこのソフトがその目的を果たしてくれるでしょう。
次に、LWC。これは常駐ソフトとして、
- デジタルズーム(寄り引き)
- デジタルパンティルト(左右上下)
- オートフォーカスON/OFF
- マニュアルフォーカス
- RightLight(自動露出ゲイン調整)
- 明るさ・コントラスト・色の濃さ調整
- アンチフリッカー
- ミラー(左右反転)効果ON/OFF
- 顔検出・顔追従
- RightSound(音)
をコントロールします。
Ustream等の配信ソフト使用時もこれらの機能は有効ですので、上記の調整をUst配信に反映させる事ができます。ただし「解像度」「アスペクト比」の設定はLWCでもできず、カメラデバイスと取込みソフトに依存する仕様です。
ここでC910のデバイスとしての仕様といいますかクセがありまして、いろいろ問題を起こします。特に16:9のワイドアスペクト設定をC910から直接出力させる設定をすることは困難です。アスペクト比の狂ったワイド映像しか出て来ません。結局4:3で出して上下を切るのが無難な方法となりますが、詳細はこちらの記事に書いてあります。(まあ、FMLEなら問題ないんですが・・・)
ここまでがWindows版でのおさらいですが、まとめますと、
- 全機能を完全に使えるのはVid HD使用時のみ
- 他のアプリは4:3でのみ対応
- 16:9対応はアスペクト比が変
- 他のアプリは結局UVC依存
- Ust的にはLWCが有用かつ重要
- FMLE最高!
結局WindowsでもUstream等のストリーミングに使用するには、非常にクセの強いカメラと言えます。はっきり言ってじゃじゃ馬です。でもあの手この手で調整をすれば素性は非常にいいカメラですので大変きれいな画が得られます。しかし「16:9ワイドでUst配信に使用しよう!」などと言う期待は少なくとも添付ソフトを入れただけでは簡単には実現はできないのです。
さて、やっと今回のMac版の話になります。
実は、上記のWindows版の仕様を見る限りはMac版もあまり大きな期待をしてはいけないことがわかります。予想の時点で、
- ワイド完全対応はVid HDのみ
- 他はUVC依存
- 正しいアスペクト比でワイドが出ない
- LWCの機能が欲しい
さて、実際に配布されたソフトをインストールしてみましょう(w)
- Logicool Vid
- Logicool Webcam Software
以上です。
・・・・・・・・えっ?w
LWCがありませんw。終了〜w
この時点ですでにUst的には全く無意味ですが、更にこのLWSがメチャクチャ重いです。Core2Duo 2.0GHzの半分を持って行ってしまいます。
まあ、一応解像度とワイドの切換えの付いた動画・静止画キャプチャ機能はありますし、解像度も360P, 480P, 720P, 1080Pと切替えられ、ワイドモードにすればきちんと16:9になりますので、Youtubeの素材用には使えます(ただし重いw)。
しかしUstream配信等のストリーミング用としては、肝心なLWCが無いのでは全く無用の長物です。
と、実際にインストールされたり、話を聞かれた方は大いに落胆することとなりますが、そもそもUstreamerはC910のMac対応に何を期待しているのか?をもう一度整理し、それに対する答えを検討してみましょう。
- HD720PワイドUst配信?
┣ 今でもFMLEを使えばできます。アスペクト比も狂いません。
┗ でも、本当に720P配信するにはマシンスペックも上り回線もそれなりに必要です。 - SDワイドUst配信?
┣ 今でもFMLEを使えばできます。アスペクト比も狂いません。
┗ CamTwistに特殊な解像度を設定することで出来ます。アスペクト比も狂いません。 - 各種テレビ電話ソフト?
┣ 今も4:3なら(多分)問題ないと思います。(この件のみ推測です)
┗ CamTwistを挟めば16:9でも4:3でも全く問題無しです。 - ステレオ音声?
┗ UVCデバイスとしてそのままステレオ出て来ます。 - マニュアルフォーカス?
┣ 残念、これはできません。
┗ Widnowsに乗換えるか、カメラを変えるしかないです。 - ホワイトバランス固定?
┣ 残念、これはできません。というかWindowsでもできません。
┗ CamTwistで _ColorBalance.qtz を使用すること でWB補正はできます。 - 明るさ・コントラスト調整?
┣ 残念、これはカメラ側ではできません。
┗ CamTwistで _ColorBalance.qtz を使用すること で補正ができます。 - ズームやパンティルト?
┣ 残念、これはカメラ側ではできません。
┗ 未公開ですが、オリジナルの .qtz で対応準備中です。
_┗ 現時点ではQuartzComposerが使用できないと使えない代物です。 - アンチフリッカー?
┗ 残念、これはできません。 - ミラー効果?
┣ 残念、これはカメラ側ではできません。
┗ CamTwist等で普通にできます。
このようにいくつかの重要な機能はCamTwist経由で補えますので、問題はCamTwistが動かせる環境とCPUパワーがあるかにかかっています。
そして多分、将来LWC for Macが出たとしても、結局解像度問題があるのでCamTwistやFMLEを持ち出す必要がありますので、あまりメーカーに期待はできません。むしろCamTwistが無いWindowsの方が悲惨(アスペクト比がヘンテコなまま配信しなくてはいけない) だったりするので、純正ソフトなど待たずにどんどんC910を買って、Macで配信をしましょう。
ただしCamTwistとカスタムComposition(.qtz)の無限の可能性を知ってしまうと、後戻り出来なくなるので注意は必要ですw 機能がどんどん作れてしまうのはすごいのですが、まとまった機能にして人様が使えるような状態にまとめるのが一番大変なところではあります。現に今手元で実験的に動いている物はものすごい機能が盛りだくさんなのですが、どう考えても他人には使えないような状態です。 dendoSwitcherとしてBetaリリースしました。
2011年01月05日 21:35
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